【2015/1/3】日本サッカー新時代 2018年への旅 本田圭佑×中山雅史対談 全文

2015/1/3に放送された、「日本サッカー新時代 2018年への旅」
本田圭佑×中山雅史 魂の叫び」対談の全文です。

本田の今、そしてこの先について色々語られています。

[ブラジルW杯後の真実・選手としての伸びしろ]
本田圭佑
ブラジルW杯終わった後の宿舎で、岡崎と話したのを思い出すと、"もうサッカーやめようか"みたいな話しましたね。」
中山雅史
「ショックで?」
本田圭佑
「オカがどう思ってるかわからないですけど、僕は勝てないと思うんだったらやめたほうがいいとおもってるんで。」
中山雅史
「それをどうにかするのが本田選手では?」
本田圭佑
「そうですね。それをどうにかしようと思える範囲でやるのが僕なんですけど、どうにもできないんじゃないかと思うんだったらやめたほうが良い。今はどうにかできると思っているんで、続けてるんですけど。
もしこれどうにかならへんかな、と思う時が来たら、フィジカル的な面も含めて思う時が来たら、バシッと辞めたいと思います。
フィジカル的な限界は僕もオカも感じていると思います。」
中山雅史
「え?まだ30手前じゃないんですか?」
本田圭佑
「そうです。まだ29なんですけど笑 はは笑」
中山雅史
「全然じゃん。こっからでしょ。やっぱ疲労が抜けないとか?」
本田圭佑
「そうじゃなくて、抜ききるスピードとかね。特にスピードですね。
ちょっとでも速くなろうと、南アフリカからブラジルに向けて取り組んできたんですね。
で、まぁ伸びました。実際数値にも色々ちゃんと表れてます。
でもその限界はもうここにきて感じています。
これはいろんなことが影響していると思うが、スピードがコレ以上の伸び続けるとことは、論理的にはありえないなというのは感じているので。
伸ばすポイントをどこにするか、という話はよくオカと話しています。」
中山雅史
「まぁでもサッカー、ヨーイドンじゃないじゃないですか?」
本田圭佑
「そうなんですよね。」
中山雅史
「そこですよね。」
本田圭佑
「あとはずる賢さ」
本田圭佑
「とりあえず、2018年はリベンジ、自分の中で。
W杯出場して結果を残したいと思ってるので。
1試合でサッカー界は天地がひっくり返るので。それを狙っています。」

[ハリルジャパン]
本田圭佑
「あまり悲観はしてないですね。
あと監督が高いものを要求する監督なので、おそらく要求するものが、彼の中ではW杯のものなんでしょうね。」
中山雅史
「そう思います。」
本田圭佑
「なんで、そのW杯で戦うものを求めても、相手はアジアなので、うまくいかな部分は出て当然なんで。
皆さんがうまくいってないというところはまさしく。」
中山雅史
「今度最終予選が始まったら、それこそハリルホジッチさんがやろうとしていることが、うまくハマっていくんじゃないかっていう考えのほうが?」
本田圭佑
「はまっていくのは間違いないと思います。ただ、それで簡単な戦いになるかといったらそうではないと思っていて。
引いた相手にどう戦うかって経験が大事だと思うんですね。」

[ボランチ]
「今までのW杯予選でうまく通ってこれたのって、各時代にスペシャルなゲームメイカーがいたと思うんですね。
名波さんであったりとか、やっとさん。惹かれた相手にはボランチがいかに凄いかが大事になってくるんで。
その細かい駆け引きっていうのは優れたボランチにしかできないので。」
中山雅史
ボランチの成長っていうか、そこが急務ですか?」
本田圭佑
「相手が強くなってから生きてくるボランチも選んでたりすると思うので。
今の選手がダメなのかということではなくて、今の選手にしかないものもあるんで。
おそらく相手が強くなってくれば、そこは効果を発揮するんではと思うんですけどね。」
中山雅史
ボランチ。どうですか?ボランチ。どうですか?
こなければ打てる、来たらパス出す。それに周りが連動する。どうですか?」
本田圭佑
「そもそもまず、誤解してもらいたくないのは、まずやりたくないです。
やりたくない前提で、やったら、アジアレベルだと簡単にやれると思います。
ただ世界となると遅すぎます。ボランチにコンバートする時期が遅すぎます。
もっと24,5くらいから本気でボランチの厳しい試合をこなしてこないと。
やっぱりボランチって簡単にどっかからやれるほど、彼らもあそこのポジションでずっとしのぎを削っているわけなんで。
足出すポイントとか、それで失点にも繋がったりもするわけなんで。とてもじゃないですけど、僕がやれるポジションではないです。」
中山雅史
「絶対的な経験が必要になってくるわけですね。脚を出すタイミングだったりそういうものが。」
本田圭佑
「蛍なんかはそのへんは凄いものを持っていますからね。」

[日本代表の若手]
中山雅史
「日本代表の若い選手に対して思うことはあるんですか?
こんなんじゃだめだよ!とか甘いよ!とか。」
本田圭佑
「言わしたそうですね笑」
本田圭佑
「まぁまず今の本田圭佑にできないプレーができる選手が多い。
それは評価してるし、ある意味羨ましいことでもあるし、彼らが後に日本代表を背負っていくのは当たり前の話とは思っている。」
中山雅史
「宇佐美選手についてはどうですか?ガンバで活躍し、代表にも名をつらねるようになってきました。」
本田圭佑
「もう彼の技術ってのは、彼にしか持ちあわせることができないものなんで。
それは代表でも随一。ただその活かし方が、まだあまりうまくないなというのは思ってるんですけどね。
それは多分、貴史のメンタルからくるものなのかなと。
負けず嫌いのいい部分ももってるんですよ。でももっとなんですよね。
もう1こ殻を破らないとダメですね。その殻はね、うますぎるがゆえに破れないのか。」
中山雅史
「そこってのはひたむきさっていうのは変ですけども、荒っぽくというか、多少汚くてもというか。」
本田圭佑
「そうですね。僕はひたむきさというよりはずる賢さだと思います。汚さに近いかもしれないですね。」
中山雅史
「でも、2018年にはキーマンになっていてもらわないと困りますよね。」
本田圭佑
「それは貴史だけに限ったものではないですけどね。
武藤もそうですし、岳もそうですし、リオでプレーする選手たちもおそらく何人か入ってくるでしょうし。」
中山雅史
「南野とか遠藤についてはどう思ってますか?」
本田圭佑
「ポテンシャルでしかまだ判断できないですよね。結局成り上がる選手かどうかって、コレ決めたら世界が変わるなって言う試合で点をとるんですよね。そこで一気にのし上がるんですよね。しかもたった1試合で。それって彼らにとって、リオかもしれないし、ロシアW杯かもしれないじゃないですか。でもそこまでの作業は、拓実もザルツブルクで、遠藤もJリーグで残している。だからポテンシャルは間違いないものがあると。」

[2人にとってのサッカー]
本田圭佑
「ゴンさん復帰されたって聞いたんですけど。」
中山雅史
「あ、お耳に入りました笑?」
本田圭佑
「まだ勝負してるんですね。」
中山雅史
「勝負してるんですよ。」
本田圭佑
「もうゴンさんみたいにはやれないですよ僕。すごいなとおもいます。
ゴンさんとカズさん見てると。真似できないです笑」
中山雅史
「いや、できます。気持ちでしょ!」
本田圭佑
「本当サッカー好きなんですね。ただそのプレーするのが好きなんですね。」
中山雅史
「サッカーをすることが好きなんですよ。」
本田圭佑
「僕もすごい好きなんですけど、僕が言ったのをやってみろって言って、やらせるのが好きなんです。」
中山雅史
「じゃあ監督タイプですね」
本田圭佑
「僕が小学校からずっと指示出してます。あ、幼稚園ですね。
幼稚園のころから、
お前、ここで砂場キープしとけ、と
お前、あっちいってジャングルジムいって、俺が後で行くからキープしとけ、と
おい違うクラスのやつが取りに来るぞ、はよいけ!と
幼稚園のころからこんなんやってたんです。
それで組織が機能していくのが好きなんです。皆が楽しめるでしょ。
僕だけが楽しみたいわけじゃないんです。ほらな!俺の行ったことしたらお前らも楽しめただろ!
っていうのがすごく好きなんです。
だから、それが今にも活きていて、例えば今だったら、
宇佐美こい、岳こいと。
僕が言ったことを、聞く聞かない、色々消化するでしょうけど。
自分が言ったことがなんかしら消化されたと感じられるだけでも、それがすごく幸せなんですよね。」
中山雅史
「若い選手に期待しているわけですね。でも悔しいじゃないですか!自分が抜かれるの。そこの葛藤はないんですか?」
本田圭佑
「例えば、一対一であれば絶対負けたくないんですよ。ただなんかこう、そういう考え方をしてないんですよね。
いずれは引退するわけじゃないですか。彼らはいずれは自分らの黄金時代を築くわけじゃないですか。
そこでの勝ち負けはあまり考えてないですね。どちらかというと敵は外という感じですよ。
ロシア人であり、イタリア人であり、ブラジル人であり。」
中山雅史
「日本というチームが強いことが一番幸せっていう考えですね」
本田圭佑
「その強さには本田圭佑が必要なんです。そういう考え方なんです。」

[日本サッカー育成論]
中山雅史
「(本田圭佑が現役選手ながら)
2015年、クラブの実質的なオーナーという形でチームを始動させましたけども、ホルン、行ってきました。」
本田圭佑
「どうでした?」
中山雅史
「誰も居ないような。街、昼間いったらあまり歩いてないんですよ。この街からチャンピオンズリーグを目指すんだと。」
本田圭佑
「(ホルンに所属する榊翔太)
榊くんを始めてみた時、オーストラリアの一部でもガンガン点がとれるポテンシャルがあるなと。
まぁ言葉の壁もあるんで、試合には出れてないんですけど、こんなとこでくすぶっているようなレベルの選手ではないんで。
今後ここから大きく飛躍すると思います。」
中山雅史
「買収して半年、実際やってみてどうですか?」
本田圭佑
「もっといけたなとうとこですね。それは今首位走ってるんですけど、満足していない。
自分のやりたいサッカーを浸透させたいなと。これが日本のクラブだったら簡単だと思うんですけどね。
相手日本人ですし。まず練習からよくないんですよ。
100種類以上の練習が頭のなかにあるんで、そういうものを提供しながら。」
中山雅史
「それノートかなんかに書き記してあるんですか?100種類?」
本田圭佑
「100種類っていうか、もっと1000種類くらいあるかもしれないですね」
中山雅史
「ください笑 世に広めますよ笑」
本田圭佑
「今、5年でホルンがチャンピオンズリーグに出るというプランを打ち出してますけど、その先もあるし。」
中山雅史
「5年でチャンピオンズリーグ。いけそうですか?」
本田圭佑
「厳しいと思います。」
中山雅史
「ですよね。正直見てそう思いました。」
本田圭佑
「時には厳しいと思っていることにもね、声を上げて挑戦することも必要だと思うんですね。
なのでもう逃げ道はないですし、そのいける確率をね、地道な努力を続けることによってちょっとでも高めていく、
これが自分の今できる作業かなと思います。」
中山雅史
「じゃあチャンピオンズリーグにもいって、本当に強いチームになったら、その先はどうなるんですか?」
本田圭佑
「ホルンが目指すべきゴールはビッグクラブになるということではないんですね。
ビッグクラブへの橋渡しができるクラブになりたいんですね。でもその点においてサッカー界一になりたいと思ってます。」
中山雅史
「そこから送り出す選手はピカイチの選手をホルンから送り出しますよということですね」
本田圭佑
「で、その生産率は欧州サッカー界で一番を目指したいと思っています。」
中山雅史
「そういうものが出来たならば、日本で海外志向が強い選手はホルンに来るのが一番だって思いますよね。
日本でも整備しているじゃないですか。下部組織というかユースであったりジュニアユースだったり。
そこで鍛えあげて、本田イズムを持った人間をホルンにっていう?」
本田圭佑
「そうですね。」
中山雅史
「そこの中からどんな選手をつくろうとしてるんですか?第2の本田圭佑ですか?」
本田圭佑
「いえいえ。たぶんね、今の中学生の選手達を育てたら全員僕よりうまいと思います。
今の子達のボール技術をみているとほんとうにうまいので。
そんなこと教えてもらえなかった、ゴンさんたちの時代のがもっとでしょうけど、
ボールも白黒とかね、雨降ると重かったりね。」
中山雅史
「今はふらっと来たら休むべきなんです。でもそれ何回も続けるんです。それが精神力です。」
本田圭佑
「ま、それはね、根性論で言えば、おそらくゴンさんやカズさんみたいな根性をもった子どもたちがでてくるのは今後はタフだと思うんです。
ただ、サッカーで成功する面はやっぱり技術の面もやっぱり大きいので。
うちの子供達には、技術は少なくとも欧州で成功する技術は身につけさせたいと思っています。
なんで第2の本田どころではないですよね。
そこに精神力も備わった子供がいればバロンドールを取るような選手が生まれるんではないですかね。」
中山雅史
「そんなチームを作ろうとしているのに、海外経験のない秋田豊をスーパーバイザーに入れてますよね。
あれはどういったところからなんですか?」
本田圭佑
「こんなこというのもあれなんですけど、秋田さんも僕と同様で、才能のあった選手だとは思えないんですね。
でもそれでW杯でセンターバックとしてでるというのは、本当にいろんなことを考えて、トレーニングを積み続けて、あそこまでの選手になられたと思うんですよ。」
中山雅史
「こうやって話してても、ヘディングしてーっていう男いないでしょ。そういう人が育ってくるかどうか」
本田圭佑
「秋田さんのヘディングと根性に我々の提供する技術が備わったら。」
中山雅史
「凄い選手ですね」
本田圭佑
「そうなんですよ」

[高校、クラブユース]
本田圭佑
「どっちにもいいところがあると思うんですね。
人間育成では高校にしかないものもあると思いますし。
そういう意味ではいずれは自分の学校みたいなのが作れると良いと思いますけどね。」
中山雅史
「学校法人ですか?」
本田圭佑
ヒューマンアカデミーみたいなは作れればいいなと。ジャストアイデアなので、5年後本田何もやってねーじゃないかと言われても困るんですけど。やりたいなとは思いますね。できれば自分の考えとか。
学歴って、最低学歴が必要だっていいますけど、結局何が必要かわからないんですよね。生きてて。
とはいえ、こういう人間関係は学ばなくてはならなかったりとか、でもそういうものって、そんなに机の上で勉強しなくても学べることもあると思うんで。
そういう社会で生きていくための実質的なものを学べる学校があって、なおかつ、学校が終わればサッカーが学べる、
そのユースの部分と、人間教育の部分を強く教育できるものがあればいいと思っている。
日本でどこかでやれればいいですよね。今、子供も減っているでしょう。廃校になるような学校も多いと思うので、そこが使えたら面白いと思う。」
中山雅史
「その中で人間力を高め、サッカーの技術・戦術の理解も高めっていう。それ最高ですね。そこでできたら。」

[この先]
本田圭佑
「ゴンさんもエンターテイナーなんで、人を喜ばせたいじゃないですか。僕も喜ばせたいんですね。
でも、ちょっとの人を喜ばせるというよりは、世界中の人を喜ばせたいいんですよ。
いま次の成り上がり計画で言えば、
アメリカよく行くんですね、好きなんで。アメリカいっても、誰も僕のことを知らないんですね。
まぁ当たり前の話なんですけど。アメリカではサッカー選手の地位も低いですし。
基本はノータッチなんです。まぁそれが好きで落ち着いて旅行できるので行ってるのもあるんですけど。
でも一方で悔しいんです。こいつら、何で俺のこと知らないんだと。
次の計画で言えばアメリカ中の人が本田圭佑のことを知る。」
中山雅史
「まず、ユニフォーム着ていけばいいじゃん。ACミランのユニフォーム着てさ!」
本田圭佑
「あのねその辺がね、僕かっこつけなんでしょうね。
あまり自分から本田圭佑知ってください。みたいに言うのは好きではないんですよね。
逃げてるのに追われるくらいが好きなんですよね。」
中山雅史
「Mでしょ。」
本田圭佑
「いや、どSです。」

[2016年]
本田圭佑
「2016年。緻密に、そして大胆に、勝負していきたいなと、勝負の年にしたいなと思います。」